豊田加茂医師会 在宅医療介護連携推進事業担当 保健師
兼松富美子さま
(ELC第47回生、認定ELCファシリテーター、折れない心を育てるいのちの授業)
小さな頃、「お父さんお母さん ちゃんと帰ってくるよね」と不安に思いながら、窓から雨降る庭を眺めていた私。人が亡くなること、大切な人と永遠に会えなくなってしまうことに、漠然とした不安があった気がします。
あまり自己肯定感の高くなかった私が、誰かの役に立ちたいと、看護師を目指し、キューブラー・ロスの著書「死ぬ瞬間」に出会い、「死を受容する」ということができるのかという疑問、また、マザーテレサの「人はみな、神に望まれてこの世に生まれてきたのです。… 臨終のとき手を握って、あたたかい愛情を与え、すべての人に、この世には深い愛情があることを伝えたいのです」「愛の反対は憎しみではなく、無関心なのです」という言葉に出会い、大学の夏休みにマザーテレサの死を待つ人の家「プレム・ダン」でボランティアの経験をしました。そこにいた人たちの穏やかな表情を今でも思い出します。
その後、自治体保健師、地域包括支援センター勤務を経て、在宅医療に関する相談支援に関わる中で、仕事上での「誰か」に加え、「自分の身近な大切な人」のためにもっと学びたいという気持ちが強くあり、エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座、折れないこころを育てるいのちの授業講師トレーニングを受講しました。
講師トレーニングを受講後に、小学生の娘が大切な友人を亡くすということがありました。「友だちに何もしてあげられなかった」と苦しむ娘を見て、私は、「全ての子どもたちにこの授業を届けたい」と強く思い、仲間の支えを受けながら認定講師となり、娘の卒業した学校にこの授業を届けることができました。子どもたちのことを大切に思い、授業の開催を決めてくださった教員の皆さんとの出会い、授業を聴いた後の子どもたちの感想文、全てが私の支えになっています。この授業を通して子どもたちに、「あなたは、『かけがえのない』『大切で』『愛される存在』であること」そして、「あなたが苦しいときは、力になりたいと思っている人がいること」を感じて欲しいと思っています。
最近の私は、公私共に希望と現実の開きを感じることが多いのですが、エンドオブライフ・ケア協会での学びを通し、たくさんの支えに気づき、支えがあれば頑張れると実感しています。支えがあると、涙がでるほど温かく、そして穏やかになれます。だから、子どもや家族など身近な大切な人には、あなたのことを大切に思っているということ、あなたが苦しいときは力になりたいと伝えることにしています。
身近に当たり前にいてくれる人たちの大切さに改めて気づくことができたこと、大切な仲間と出会えたことに感謝しています。そして、これからも折れない心を育てるいのちの授業を仲間と共に届けて行きたいと思っています。
エンドオブライフ・ケア協会では、このような学び・気づきの機会となる研修やイベントを開催しております。活動を応援してくださる方は、よろしければこちらから会員登録をお願いします。
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